はじめに
最近、マイクロサービスの拡大と共にキューやストリームを使用した非同期処理が増えたと思います。
この記事では、Netflix・Pinterest・Airbnbが公開した、各社の非同期処理の具体例を紹介します。
(各事例は簡単な概要の紹介しか書かないので、より詳細な内容は元記事を覗いてみてください。)
Netflix: 別サービスへのデータ更新の伝播
元記事: Delta: A Data Synchronization and Enrichment Platform
最初はNetflixが社内で使用しているデータ同期ツールDeltaの紹介です。
Webサービスでは、RDBにデータ(Source of truth)を置きつつ、検索やキャッシュ用に別ツールにも同じデータをコピーするという構成を取るということが有りますが、Netflixもこれをやっています。
Netflixでは、どのように同期するかという問題に対して、「データ変更を検知した時に、変更を別サービスに通知する」という仕組みを作って解決しています。
上図のように、データが更新されると、Delta-connectorを介してKafkaに情報が送られた後に各種伝播が発生するようになっています。
参考
また、NetflixはDeltaだけでなく、関連ツールについてもブログにしています。
- DBLog (DeltaにRDBの変更を通知しているツール。UPDATEを使って開始時のログの場所を確認することで、RDBからのダンプと変更検知を可能にしている)
- Keystone (Deltaで使うキュー。社内のリアルタイム処理プラットフォーム)
Pinterest: ユーザーイベントの保管・解析
元記事: Real-time User Signal Serving for Feature Engineering
次は、Pinterestによるユーザーイベントの解析についてです。
Pinterestではユーザー行動(クリックや検索)を解析するために、ユーザーイベントをキューが受けた後に集計とその結果の保存を簡単に行えるようにしています。
上図のように、最初にイベント情報が「User Events」キューに入った後、順次計算を行い結果を保存します。その後、クライアントがViewのデータを取り出せるようになっています。
Airbnb: 2段SQSによるキューのスケジューリング
元記事: Dynein: Building an Open-source Distributed Delayed Job Queueing System
最後は、Airbnbによるスケジューリングについてです。
AirbnbはResqueを使っていましたが、性能やat-most-onceな特性などが問題となっていました。そのため、SQSを多段にしたスケジューリングツール(Dynein)を作ったそうです。
上図がDyneinの動きです(赤いアイコンがAWS SQS, 青がDynamodb)。
SQSを多段にし、間にスケジューリング用のコンポーネントを作ることで、使用者にとってはSQSでありながらスケジューリングも出来るようになっています。
終わりに
以上、3社の非同期処理例を紹介しました。
また、直接的な例ではないですが、先日リリースされたThe Amazon Builders' Libraryの乗り越えられないキューバックログの回避という記事も面白い内容をもっています。